「政府調達に Microsoft Office は禁止」は結局 NHK の飛ばし記事

Microsoft から公式にプレスリリースが出ています。

http://www.microsoft.com/japan/presspass/detail.aspx?newsid=3123 をご覧ください。

結局これは、調達仕様書に

  • 要件にあった製品を選択しましょう
  • 選択肢が複数あるなら、いわゆるオープンなものを選択しましょう
  • 要件からちょっと離れたところにオープンなものがあるなら、費用対効果を見て要件を変えるかオープンじゃないものを選ぶかしましょう

と記載しろという指針を示しただけなのです。すなわち、オープンが絶対というわけではないのです。
具体例をあげれば、調達仕様の要件に「過去に Office で作ったドキュメントが不具合なく開けること」とあれば、

  • Office の購入費用 (おそらくたいていのケースでこれが現場の希望)
  • OOo + ドキュメント動作確認費用 + 修繕費用 + 教育費用 + 修繕できないリスク (政府調達の推奨)
  • OOo + 要件を『何となく開ければ OK』にする + 教育費用 + 業務リスク

のどちらか都合がいい方選んでよ、ってことになります。見ての通り、Office 禁止とか全然関係ないです。ついでに言うと、自分が調達仕様作る立場ならきっと、「過去のドキュメントはセキュリティの観点から閲覧を絶対に認めない」という条件を追加しちゃいますが。どこに個人情報書いてあるかわからないのだから当然だよね、という言い訳付き。要するに調達仕様書作る人の目利きでこんなもんいくらでも操作できるわけです。素直に Office 買おうぜ! (笑
しかし例題もアレではあるんですが、調達仕様書にオープンとか何とかが出てくるケースって、住基ネット新規構築みたいな新規案件で無い限り、全然関係ないです。普通に考えてもそうですが、たいていの場合、過去の資産をどうするかの方に重きがおかれます。


「「ワード」など 国は購入せず」の顛末 | Okumura's Blog には

歯切れの悪いことを言わずに,「御社の製品が「基本指針」にあるオープンな標準の条件を満たせばOKです」と言えなかったのだろうか。

とあるのですが、これも「OK です」ではなくて「より望ましいです」だと思っています。どの製品も要件を満たさなければ、(極力避けるべきですが) 自前で作ったっていいわけです。
OK/NG の線引きもあえて曖昧にされているので、歯切れが悪くなるのもやむを得なしですね。なぜか? 総務省には OOo と Office のどちらかを使いなさいと指定などできないからです。つーか指定したら大切な何かに接触してそう。


ドキュメントを書く際は、「表現のしやすさ」と「相手が意図したとおり閲覧できる環境を持っているか」を正しく評価し、最適な製品やフォーマットを選ぶとよいでしょう。

個人的には、Visio (のステンシル) を使えないとにっちもさっちもいかなくなるので、Office は手放せません。PowerPoint 2007 も、高橋メソッド防止に便利な機能がありますね。同じ思いを抱いている現場のエンジニアは、少なくないと思います。OOo に移ったらまた使い方覚えないといけない、ステンシルはゼロになる、政治屋の横恋慕でどんだけコスト掛けるつもりですか? って。


しかし、Microsoft はこの件に関してプレスリリース出すだけでおしまいにするんでしょうか。今後の動きがもう少し気になるところです。